環境とエネルギーの未来について考えるトークショーを実施
『プロミスト・ランド』の公開を記念し、大手町サンケイプラザにて
映画の背景となっているシェールガス開発の現状と、
環境問題についての勉強会&トークセッションを実施致しました。
ゲストは、
元TBSアナウンサーで、現在はフリーに転身され、
環境省や経済産業省など環境に関係する国の審議会にも多数参加されている木場弘子さんと、
産業タイムズ社にて、長年エネルギー産業界で記者を務め、環境エネルギー産業情報の編集長、東 哲也さん。
白熱したトークショーの模様を一部、レポートします。(以下、敬称省略)
●シェールガスとは
東「地下の2000~3000メートルにある層で、そこに埋まっている天然ガスなんです。特にアメリカ、中国、メキシコ、カナダに埋まっていて、アメリカだけでも、150年分。世界全体だと400年以上にのぼると言われています。」
木場「震災後、今の日本は火力発電は9割程度になりました。そのうちLNGガスによるエネルギー供給は4割強ですが、シェールガスが入ってくることは日本にとって喜ばしいことと言えますか?」
東「2017年からはアメリカ、2019年からはカナダからの輸入が始まるので、これを確保できることは良いことですね。」
木場「日本ではシェールオイルの採掘が今年の4月から秋田で始まりましたが」
東「一部で採れるんですよ。シェールオイルが。4月から採掘が始まったんですが国内需要の1%程度なんですね。」
木場「日本でもやってみることに価値があるということでしょうか。以前、サハリンのKNG施設を視察したことがありますが、シェールガスの輸出にも日本の技術が活躍するようですね。ロシアでは大陸にはガスをパイプラインで送るだけですが、日本にはマイナス162℃で体積を600分の1に減らしてより簡単に大量に運べるようにしていましたね。」
●これからのシェールガスを取り巻く環境
木場「今回輸入に成功した企業の方にお話を伺いましたが、ガスを輸入する際、パナマ運河を通るのですが、今パナマ運河の拡張工事をしているのですが、その幅に合わせた輸入船の発注も相次いでいるようです。」
東「2017年の輸入は日本の大きいエネルギープロジェクトの中の1つで期待されています。でもシェールガスの採掘は数年で急にでなくなることもあり、採算が合わない問題が出ています。」
木場「既存のLNGに比べると不安定なんですね?環境破壊の問題もあってアメリカは州によっては採掘を禁じているところもあるそうです。その都度その土地の人々が犠牲になるのは避けたいですね。」
東「環境破壊、リスクは必ず出ます。洋上風力発電などは漁業権の侵害なども出てきますし。エネルギーというものには必ずリスクが伴うんですね。」
・都会で生活する人々がとるべきスタンスとは
木場「なにか起こると一番影響を受けるのは地方の人々なのだと、311以降私たちは思い知らされた訳ですが、都会に住む私たちは、街づくりや個々の生活にどう対峙していくべきでしょうか?」
東「省エネに対する取り組みはヨーロッパが進んでいて、その点を日本も見習って意識すべきですね。
日本でもやれることとして、ソーラーパネルや燃料電池なんかの分散型電源や蓄電池を増やすこと。
コミュニティーレベルでは豊田市などでスマートシティプロジェクトが進められています。
電力が足りないところは余っているところから補う、それでも余ったら蓄電池に溜めると。そういう取組みをしていく必要があります。」
木場「個人で‘創エネ’も必要ですよね。今の日本のエネルギー自給率はわずか4%です。この数字は、皆さんのご家庭で言うと、便座温水器を動かすだけしかできません。96%は輸入に頼らないとやっていけない。これが日本という国なんです。
だからこそ使う量を減らすことも必要。大分県などは地熱発電が盛んで、計算上は10%も県内の使用エネルギーを自県で賄っているんですよ。そういうシンボリックな取り組みが良い波及効果を生むといいですね。」
ご参加頂いた大手町近辺に勤務のビジネスマン、OLの方々からも、
日本の発電自給率を上げるにはどうすればいいのか、シェールガスが抱える今後の課題や解決策等
質疑応答が飛び交う勉強会となりました。
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◆登壇者プロフィール
木場弘子さん: 千葉大学教育学部を卒業後、1987年 TBSにアナウンサーとして入社。
在局中はスポーツキャスターとして、『筑紫哲也ニュース23』など 多数の番組を担当。
結婚を機にフリーランスに転身し、現在は教育や環境・エネルギーに関わる活動多数。
テレビ出演、コーディネーター、講演や執筆活動など多方面で活躍。環境省や経済産業省など環境に関係する国の審議会にも多数参加している。
東 哲也さん :産業タイムズ社にて、長年エネルギー産業界で記者を務める。
環境エネルギー産業情報の編集長及び、半導体産業新聞の記者として活躍。